四つの福音書による一つのイエス物語40
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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040
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税金取りを弟子に召す
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
2;13〜17 9;9〜13 5;27〜32
第二章一三〜一七節 第九章九〜一三節 第五章二七〜三二節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第二章
十三 イエスまた邊に往しに人みな彼に來ければ是等を
十四 此より進てアルパヨの子レビといふの稅吏の役所に坐し居けるを見て我に從へと曰ければ彼たちて從ヘり
十五 斯てイエスその家にて食する時おはくの稅吏罪ある人イエス及び弟子と共に坐せり是等の許多ありてイエスに從ひぬ
十六 學とパリサイの人かれが稅吏および罪ある人と共に食するを見て其弟子に曰けるは何ゆゑ稅吏罪ある人と共に食飮する乎
十七 イエス聞て彼等に曰けるは康强なるは醫の助を需ず唯病あるこれを需わが來しは義人を召ために非ず罪ある人を召て改させんが僞なり
馬太傳iケ書第九章
九 イエス此より進往マタイと名くる人の稅關に座し居けるを見て我に從へと曰ければ起て從へり
十 イエス彼が家に食するとき稅吏罪ある人おほく來りてイエス及その弟子と偕に坐しければ
十一 パリサイの人これを見て其弟子に曰けるは爾曹の師は何故稅吏や罪ある人と偕に食する乎
十二 イエス聞て彼等に曰けるは康强なるは醫の助を需ず唯病あるこれを需
十三 われ矜恤を欲て祭祀を欲ずといふ此は如何なる意か往て學ぶべし夫わが來るは義人を招ために非ず罪ある人を招きて改させんが爲なり
路加傳iケ書第五章
二七 此後イエス出てレビと云る稅吏の關に坐し居けるを見て我に從へと曰ければ
二八 レビ一切を捨おき起て從へり
二九 レビ己の家にてイエスの爲に盛なる筵を設しに稅吏また他の人も共に筵に坐したる多かりければ
三十 其所の學とパリサイの人イエスの弟子に怨言曰けるは爾曹稅吏また罪ある人と共に飮食するは何故ぞ
三一 イエス答て曰けるは康强なるは醫の助を需ず惟病あるこれを需む
三二 わが來るは義人を召く爲に非ず罪ある人を召て悔改させんが爲なり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第二章
一三 イエスまた邊に出でゆき給ひしに、群衆みもとに集ひ來りたれば、之をヘへ給へり。
一四 斯て過ぎ往くとき、アルパヨの子レビの、收稅所に坐しをるを見て『われに從へ』と言ひ給へば、立ちて從へり。
一五 而して其の家にて食事の席につき居給ふとき、多くの取稅人罪人ら、イエス及び弟子たちと共に席に列る、これらのおほく居て、イエスに從へるなり。
一六 パリサイ人の學ら、イエスの罪人取稅人とともに食し給ふを見て、その弟子たちに言ふ『なにゆゑ取稅人罪人とともに食するか』
一七 イエス聞きて言ひ給ふ『健かなるは、醫を要せず、ただ病ある、これを要す。我は正しきを招かんとにあらで、罪人を招かんとて來れり』
マタイ傳iケ書第九章
九 イエス此處より進みて、マタイといふ人の收稅所に坐しをるを見て『我に從へ』と言ひ給へば、立ちて從へり。
 家にて食事の席につき居給ふとき、よ、多くの取稅人罪人ら來りて、イエス及び弟子たちと共に列る。
一一 パリサイ人これを見て弟子たちに言ふ『なに故なんぢらの師は、取稅人罪人らと共に食するか』
一二 之を聞きて言ひたまふ『健かなるは醫を要せず、ただ病めるこれを要す。
一三 なんぢら往きて學ベ「われ憐憫を好みて、犧牲を好まず」とは如何なる意ぞ。我は正しきを招かんとにあらで、罪人を招かんとて來れり』
ルカ傳iケ書第五章
二七 この事の後イエス出でて、レビといふ取稅人の收稅所に坐しをるを見て『われに從へ』と言ひ給へば、
二八 一切を棄ておき、起ちて從へり。
二九 レビ己が家にて、イエスの爲に大なる饗宴を設けしに、取稅人および他の人も多く、食事の席に列りゐたれば、
 パリサイ人および其の曹輩の學ら、イエスの弟子たちに向ひ、きて言ふ『なにゆゑ汝らは取稅人罪人らと共に飮食するか』
三一 イエス答へて言ひたまふ『健康なるは醫を要せず、ただ病ある、これを要す。
三二 我は正しきを招かんとにあらで、罪人を招きて悔改めさせんとて來れり』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第二章
一三 イエスはまた海べに出て行かれると、多くの人々がみもとに集まってきたので、彼らを教えられた。
一四 また途中で、アルパヨの子レビが収税所にすわっているのをごらんになって、「わたしに従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがって、イエスに従った。
一五 それから彼の家で、食事の席についておられたときのことである。多くの取税人や罪人たちも、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。こんな人たちが大ぜいいて、イエスに従ってきたのである。
一六 パリサイ派の律法学者たちは、イエスが罪人や取税人たちと食事を共にしておられるのを見て、弟子たちに言った、「なぜ、彼は取税人や罪人などと食事を共にするのか」。
一七 イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。
マタイによる福音書第九章
九 さてイエスはそこから進んで行かれ、マタイという人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがって、イエスに従った。
一〇 それから、イエスが家で食事の席についておられた時のことである。多くの取税人や罪人たちがきて、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。
一一 パリサイ人たちはこれを見て、弟子たちに言った、「なぜ、あなたがたの先生は、取税人や罪人などと食事を共にするのか」。
一二 イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。
一三 『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、学んできなさい。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。
ルカによる福音書第五章
二七 そののち、イエスが出て行かれると、レビという名の取税人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。
二八 すると、彼はいっさいを捨てて立ちあがり、イエスに従ってきた。
二九 それから、レビは自分の家で、イエスのために盛大な宴会を催したが、取税人やそのほか大ぜいの人々が、共に食卓に着いていた。
三〇 ところが、パリサイ人やその律法学者たちが、イエスの弟子たちに対してつぶやいて言った、「どうしてあなたがたは、取税人や罪人などと飲食を共にするのか」。
三一 イエスは答えて言われた、「健康な人には医者はいらない。いるのは病人である。
三二 わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである」。
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