四つの福音書による一つのイエス物語26
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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026
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最初の弟子を召す
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
1;16〜20 4;18〜22 5;1〜11 1;35〜51
第一章一六〜二〇節 第四章一八〜二二節 第五章一〜一一節 第一章三五〜五一節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一章
十六 イエスガリラヤの湖の邊をる時シモンと其兄弟アンデレの湖に網うてるを見る彼等は漁者なり
十七 イエス彼等に曰けるは我に從へ我爾曹を人を漁る者とせん
十八 彼等たちに其網を棄て之に從へり
十九 此より少し進行ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネの舟に在て網つくろふを見て
二十 直に彼等を召給ひしかば其父ゼベダイを傭人と共に舟に遺て彼に從へり
馬太傳iケ書第四章
十八 イエス ガリラヤの海邊をてペテロと云シモンその兄弟アンデレと二人にてに網うてるを見たり彼等は漁なり
十九 之に曰けるは我に從へ我爾曹を人を漁ると爲ん
二十 彼等やがて網を棄てイエスに從ふ
二一 此より進けるに又外の兄弟二人ちゼベダイの子ヤコブと其兄弟ヨハネ父ゼベダイと偕に舟にて網を補へるを見て之を召しに
二二 彼等も頓て舟と父とを置てイエスに從へり
路加傳iケ書第五章
一 衆人~の道を聽んとて擁ける時イエス ゲネサレの湖の濱に立て
二 磯に二の舟あるを見る漁のは舟を離て網を洗をれり
三 其一はシモンの舟なりしがイエス之にのり請て岸より少許はなれ坐して舟中より衆人を
四 竟てシモンに曰けるは澳へいで網を下して漁れ
五 シモン答けるは師よわれら終夜はたらきしかど所得なかりき然ど爾の言に從ひて網を下さん
六 に下して魚を圍ること甚だ多く網さけかりければ
七 いま一なる舟の侶を招きて來り助しめしに彼等が來し時其魚二の舟にて沈んばかりなりし
八 シモンペテロ之を見てイエスの足下に俯て主よ我を離たまへ我は罪人なりと曰り
九 是シモンおよび偕に在しみな漁し所の魚のしきに驚ける也
十 シモンの侶なるゼベダイの子ヤコブとヨハネも亦然りイエス シモンに曰けるは懼る勿れなんぢ今より人を獲べし
十一 彼等舟を岸に寄おき一切を捨てイエスに從へり
約翰傳iケ書第一章
三五 明日またヨハネ二人の弟子と偕に立
三六 イエスの行を見て~の羔を觀よと曰
三七 如此いへるを弟子聞てイエスに從ひ往り
三八 イエス彼等の從へるを回顧て爾曹なにを求るやと彼等に問こたへてラビ何處に住るやと曰ラビを譯ば師と云の義なり
三九 イエス彼等に來り觀よと曰たまひければ遂に往て其住り給ふ處を見て是日ともに住れり時は晝の四時ごろなりき
四十 ヨハネの曰し言を聞てイエスに從へる二人のの其一人はシモンペテロの兄弟アンデレなり
四一 かれ先その兄弟シモンに遇て曰けるは我メツシヤに遇りメツシヤを譯ばキリストなり
四二 ち彼をイエスに携往しにイエスて之に曰けるは爾はヨナの子シモンなり爾はケパと稱らるべしケパを譯ばペテロなり
四三 明日イエス ガリラヤに往んとしてピリポにあひ我に從へと曰り
四四 ピリポはアンデレとペテロの住るベテサイダと云る邑の人なり
四五 ピリポ ナタナエルに遇て曰けるは我律法の中にモセか載たるところ預言等の記し所のに遇りちヨセフの子ナザレのイエスなり
四六 ナタナエル曰けるはナザレより何の善いでん乎ピリポ彼に曰けるは來て觀よ
四七 イエス ナタナエルの己が所に來るを見かれを指て曰けるはよ眞のイスラエルの人にして其心詭譎なき
四八 ナタナエル イエスに曰けるは如何にして我を知たまふ乎イエス之に答て曰けるはピリポが爾を召ざる先に無花果樹の下に爾の居るを見たり
四九 ナタナエル答て曰けるはラビ爾は~の子なり爾はイスラエルの王なり
五十 イエス答て曰けるは爾が無花果樹の下に居るを我見しと言るに因て爾信ずるか此よりも大なる事を爾みるべし
五一 又いひけるは我まことに實に爾曹にん天ひらけて~の使等人の子の上に陟降するを見ん
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一章
一六 イエス、ガリラヤのにそひてみゆき、シモンと其の兄弟アンデレとが、に網投ちをるを見給ふ。かれらは漁人なり。
一七 イエス言ひ給ふ『われに從ひきたれ、汝等をして人を漁るとならしめん』
一八 彼ら直ちに網をすてて從へり。
一九 少し進みゆきて、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとを見給ふ、彼らも舟にありて網を繕ひゐたり。
 直ちに呼び給へば、父ゼベダイを雇人とともに舟に遺して從ひゆけり。
マタイ傳iケ書第四章
一八 斯て、ガリラヤの邊をあゆみて、二人の兄弟ペテロといふシモンとその兄弟アンデレとが、、に網打ちをるを見給ふ、かれらは漁人なり。
一九 これに言ひたまふ『我に從ひきたれ、然らば汝らを人を漁るとなさん』
 かれら直ちに網をすてて從ふ。
二一 更に進みゆきて、又ふたりの兄弟、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、父ゼベダイとともに舟にありて網を繕ひをるを見て呼び給へば、
二二 直ちに舟と父とを置きて從ふ。
ルカ傳iケ書第五章
一 群衆おし迫りて~の言を聽きをる時、イエス、ゲネサレの湖のほとりに立ちて、
二 渚に二の舟の寄せあるを見たまふ、漁人は舟をいでて網を洗ひ居たり。
三 イエスその一なるシモンの舟に乘り、彼に請ひて陸より少しく押し出さしめ、坐して舟の中より群衆をヘへたまふ。
四 語り終へてシモンに言ひたまふ『深處に乘りいだし、網を下して漁れ』
五 シモン答へて言ふ『君よ、われら終夜、勞したるに何をも得ざりき、然れど御言に隨ひて網を下さん』
六 期て然せしに魚の多しき群を圍みて網裂けかかりたれば、
七 他の一の舟にをる組のを差招きて來り助けしむ。來りて魚を二の舟に滿したれば、舟沈まんばかりになりぬ。
八 シモンペテロ之を見て、イエスの膝下に平伏して言ふ『主よ、我を去りたまへ。我は罪あるなり』
九 これはシモンも偕に居るもみな漁りし魚の多しきに驚きたるなり。
 ゼベダイの子にしてシモンの侶なるヤコブもヨハネも同じく驚けり。イエス、シモンに言ひたまふ『懼るな。なんぢ今より後、人を漁らん』
一一 かれら舟を陸につけ、一切を棄ててイエスに從へり。
ヨハネ傳iケ書第一章
三五 明くる日ヨハネまた二人の弟子とともに立ちて、
三六 イエスのみ給ふを見ていふ『よ、これぞ~の羔羊』
三七 かく語るをききて二人の弟子イエスに從ひゆきたれば、
三八 イエス振反りて、その從ひきたるを見て言ひたまふ『何を求むるか』彼等いふ『ラビ(釋きていへば師)いづこに留り給ふか』
三九 イエス言ひ給ふ『きたれ、然らば見ん』彼ら往きてその留りたまふ所を見、この日ともに留れり、時は第十時ごろなりき。
 ヨハネより聞きてイエスに從ひし二人のうち一人は、シモンペテロの兄弟アンデレなり。
四一 この人まづ其の兄弟シモンに遇ひ『われらメシヤ(釋けばキリスト)に遇へり』と言ひて、
四二 彼をイエスの許に連れきたれり。イエス之に目を注めて言ひ給ふ『なんぢはヨハネの子シモンなり、汝ケパ(釋けばペテロ)と稱へらるべし』
四三 明くる日イエス、ガリラヤに往かんとし、ピリポにあひて言ひ給ふ『われに從へ』
四四 ピリポはアンデレとペテロとの町なるベツサイダの人なり。
四五 ピリポ、ナタナエルに遇ひて言ふ『我らはモセが律法に錄ししところ、預言たちが錄しし所のに遇へり、ヨセフの子ナザレのイエスなり』
四六 ナタナエル言ふ『ナザレより何の善きかいづべき』ピリポいふ『來りて見よ』
四七 イエス、ナタナエルの己が許にきたるを見、これを指して言ひたまふ『よ、これ眞にイスラエル人なり、その衷に虛僞なし』
四八 ナタナエル言ふ『如何して我を知り給ふか』イエス答へて言ひたまふ『ピリボの汝を呼ぶまへに我なんぢが無花果の樹の下に居るを見たり』
四九 ナタナエル答ふ『ラビ、なんぢは~の子なり、汝はイスラエルの王なり』
 イエス答へて言ひ給ふ『われ汝が無花果の樹の下にをるを見たりと言ひしに因りて信ずるか、汝これよりも更に大なる事を見ん』
五一 また言ひ給ふ『まことに誠に汝らにぐ、天ひらけて人の子のうへに~の使たちの昇り降りするを汝ら見るべし』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一章
一六 さて、イエスはガリラヤの海べを歩いて行かれ、シモンとシモンの兄弟アンデレとが、海で網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。
一七 イエスは彼らに言われた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。
一八 すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。
一九 また少し進んで行かれると、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。
二〇 そこで、すぐ彼らをお招きになると、父ゼベダイを雇人たちと一緒に舟において、イエスのあとについて行った。
マタイによる福音書第四章
一八 さて、イエスがガリラヤの海べを歩いておられると、ふたりの兄弟、すなわち、ペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレとが、海に網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。
一九 イエスは彼らに言われた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。
二〇 すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。
二一 そこから進んで行かれると、ほかのふたりの兄弟、すなわち、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、父ゼベダイと一緒に、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。そこで彼らをお招きになると、
二二 すぐ舟と父とをおいて、イエスに従って行った。
ルカによる福音書第五章
一 さて、群衆が神の言を聞こうとして押し寄せてきたとき、イエスはゲネサレ湖畔に立っておられたが、
二 そこに二そうの小舟が寄せてあるのをごらんになった。漁師たちは、舟からおりて網を洗っていた。
三 その一そうはシモンの舟であったが、イエスはそれに乗り込み、シモンに頼んで岸から少しこぎ出させ、そしてすわって、舟の中から群衆にお教えになった。
四 話がすむと、シモンに「沖へこぎ出し、網をおろして漁をしてみなさい」と言われた。
五 シモンは答えて言った、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も取れませんでした。しかし、お言葉ですから、網をおろしてみましょう」。
六 そしてそのとおりにしたところ、おびただしい魚の群れがはいって、網が破れそうになった。
七 そこで、もう一そうの舟にいた仲間に、加勢に来るよう合図をしたので、彼らがきて魚を両方の舟いっぱいに入れた。そのために、舟が沈みそうになった。
八 これを見てシモン・ペテロは、イエスのひざもとにひれ伏して言った、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」。
九 彼も一緒にいた者たちもみな、取れた魚がおびただしいのに驚いたからである。
一〇 シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも、同様であった。すると、イエスがシモンに言われた、「恐れることはない。今からあなたは人間をとる漁師になるのだ」。
一一 そこで彼らは舟を陸に引き上げ、いっさいを捨ててイエスに従った。
ヨハネによる福音書第一章
三五 その翌日、ヨハネはまたふたりの弟子たちと一緒に立っていたが、
三六 イエスが歩いておられるのに目をとめて言った、「見よ、神の小羊」。
三七 そのふたりの弟子は、ヨハネがそう言うのを聞いて、イエスについて行った。
三八 イエスはふり向き、彼らがついてくるのを見て言われた、「何か願いがあるのか」。彼らは言った、「ラビ(訳して言えば、先生)どこにおとまりなのですか」。
三九 イエスは彼らに言われた、「きてごらんなさい。そうしたらわかるだろう」。そこで彼らはついて行って、イエスの泊まっておられる所を見た。そして、その日はイエスのところに泊まった。時は午後四時ごろであった。
四〇 ヨハネから聞いて、イエスについて行ったふたりのうちのひとりは、シモン・ペテロの兄弟アンデレであった。
四一 彼はまず自分の兄弟シモンに出会って言った、「わたしたちはメシヤ(訳せば、キリスト)にいま出会った」。
四二 そしてシモンをイエスのもとにつれてきた。イエスは彼に目をとめて言われた、「あなたはヨハネの子シモンである。あなたをケパ(訳せば、ペテロ)と呼ぶことにする」。
四三 その翌日、イエスはガリラヤに行こうとされたが、ピリポに出会って言われた、「わたしに従ってきなさい」。
四四 ピリポは、アンデレとペテロとの町ベツサイダの人であった。
四五 このピリポがナタナエルに出会って言った、「わたしたちは、モーセが律法の中にしるしており、預言者たちがしるしていた人、ヨセフの子、ナザレのイエスにいま出会った」。
四六 ナタナエルは彼に言った、「ナザレから、なんのよいものが出ようか」。ピリポは彼に言った、「きて見なさい」。
四七 イエスはナタナエルが自分の方に来るのを見て、彼について言われた、「見よ、あの人こそ、ほんとうのイスラエル人である。その心には偽りがない」。
四八 ナタナエルは言った、「どうしてわたしをご存じなのですか」。イエスは答えて言われた、「ピリポがあなたを呼ぶ前に、わたしはあなたが、いちじくの木の下にいるのを見た」。
四九 ナタナエルは答えた、「先生、あなたは神の子です。あなたはイスラエルの王です」。
五〇 イエスは答えて言われた、「あなたが、いちじくの木の下にいるのを見たと、わたしが言ったので信じるのか。これよりも、もっと大きなことを、あなたは見るであろう」。
五一 また言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。天が開けて、神の御使たちが人の子の上に上り下りするのを、あなたがたは見るであろう」。
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