四つの福音書による一つのイエス物語22
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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022
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イエスのことをヨハネ予め告げる
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
1;7〜8 3;11〜12 3;15〜18 1;19〜28
第一章七〜八節 第三章一一〜一二節 第三章一五〜一八節 第一章一九〜二八節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一章
七 かれ宣傳けるは我より勝れる者わが後に來らん我は屈て某履の紐を解にも足ず
八 我は水をもて爾曹にバプテスマを施しが彼は聖靈をもて爾曹にバプテスマを施すべし
馬太傳iケ書第三章
十一 我は爾曹を改させんとて水を以て爾曹にバプテスマを授く我より後に來は我に勝て能力あり我は其履を提にも足ず彼は聖靈と火をもて爾曹にバプテスマを授ん
十二 手には箕を持て其禾を淨め麥はて其倉にいれ糠は熄ざる火こてべし
路加傳iケ書第三章
十五 民懷望し時なれば衆人みな心にヨハネをキリストなるや否と忖度たりしに
十六 ヨハネ之に答いひけるは我は水を以てバプテスマを爾曹に施へり我より能力あるきたらん我は其履帶を解にも足ず彼は聖靈と火を以てバプテスマを爾曹に施はん
十七 手には箕を持て其禾場を潔め麥は斂て其藏にいれ殼は滅ざる火にて燒べし
十八 ヨハネまた多端を以て勸をなし音を民に宣傳たり
約翰傳iケ書第一章
十九 ユダヤ人祭司とレビの人をエルサレムよりヨハネの所に遣し爾は誰ぞと問しめけるとき證せること左の如し
二十 かれ諱す所なく言顯して我はキリストに非ずと明かに曰り
二一 また問けるは然ば爾は誰ぞエリヤなるか否と答ふ又なんぢは彼の預言なる乎と問しに然らずと答たり
二二 是に於て彼等また問けるは爾は誰なるか我を遣しゝ者に我が答を爲得るやう我に告よ爾みづから如何に謂や
二三 ヨハネ曰けるは我はち主の道を直せよと野に呼る人の聲なり預言イザヤの言るが如し
二四 その遣されたる人はパリサイの人なりき
二五 彼等又ヨハネに問て曰けるは然ば爾はキリストに非ずエリヤに非ず彼の預言にも非ずして何ぞバプテスマを施すや
二六 ヨハネ答曰けるは我は水を以てバプテスマを授く然ど爾曹が知ざる所のもの一人爾曹の中に立り
二七 我に後れ來りて我に優れるとは是なり我は其履の紐を解にも足ざるなり
二八 此事はヨハネのバプテスマを施しヨルダンの外なるベタニヤにて有し也
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一章
七 かれ宣傳へて言ふ『我よりも力ある、わが後に來る。我は屈みて、その鞋の紐をとくにも足らず、
八 我は水にて汝らにバプテスマを施せり。されど彼は聖靈にてバブテスマを施さん』
マタイ傳iケ書第三章
一一 我は汝らの悔改のために、水にてバブテスマを施す。されど我より後にきたるは、我よりも能力あり、我はその鞋をとるにも足らず、彼は聖靈と火とにて汝らにバプテスマを施さん。
一二 手には箕を持ちて禾場をきよめ、その麥は倉に納め、殼は消えぬ火にて燒きつくさん』
ルカ傳iケ書第三章
一五 民、待ち望みゐたれば、みな心の中にヨハネをキリストならんかと論ぜしに、
一六 ヨハネ凡ての人に答へて言ふ『我は水にて汝らにバプテスマを施す、されど我よりも能力あるきたらん、我はその鞋の紐を解くにち足らず。彼は聖靈と火とにて汝らにバプテスマを施さん。
一七 手には箕を持ちたまふ。禾場をきよめ、麥を倉に納めんとてなり。而して殼は消えぬ火にて焚きつくさん』
一八 ヨハネこの他なほ、さまざまの勸をなして、民に音を宣傳ふ。
ヨハネ傳iケ書第一章
一九 さてユダヤ人、エルサレムより祭司とレビ人とをヨハネの許に遣して『なんぢは誰なるか』と問はせし時、ヨハネの證は斯のごとし。
 乃ち言ひあらはして諱まず『我はキリストにあらず』と言ひあらはせり。
二一 また問ふ『さらば何、エリヤなるか』答ふ『然らず』問ふ『かの預言なるか』答ふ『いな』
二二 ここに彼ら言ふ『なんぢは誰なるか、我らを遣しし人に答へ得るやうに爲よ、なんぢ己につきて何と言ふか』
二三 答へて言ふ『我は預言イザヤの云へるが如く「主の道を直くせよと、荒野に呼はるの聲」なり』
二四 かの遣されたるは、パリサイ人なりき。
二五 また問ひて言ふ『なんぢ若しキリストに非ず、またエリヤにも、かの預言にも非ずば、何故バプテスマを施すか』
二六 ヨハネ答へて言ふ『我は水にてバプラスマを施す。なんぢらの中に汝らの知らぬもの一人たてり。
二七 ち我が後にきたるなり、我はその鞋の紐を解くにも足らず』
二八 これらの事は、ヨハネのバプテスマを施しゐたりしヨルダンの向なるベタニヤにてありしなり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一章
七 彼は宣べ伝えて言った、「わたしよりも力のあるかたが、あとからおいでになる。わたしはかがんで、そのくつのひもを解く値うちもない。
八 わたしは水でバプテスマを授けたが、このかたは、聖霊によってバプテスマをお授けになるであろう」。
マタイによる福音書第三章
一一 わたしは悔改めのために、水でおまえたちにバプテスマを授けている。しかし、わたしのあとから来る人はわたしよりも力のあるかたで、わたしはそのくつをぬがせてあげる値うちもない。このかたは、聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。
一二 また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、からは消えない火で焼き捨てるであろう」。
ルカによる福音書第三章
一五 民衆は救主を待ち望んでいたので、みな心の中でヨハネのことを、もしかしたらこの人がそれではなかろうかと考えていた。
一六 そこでヨハネはみんなの者にむかって言った、「わたしは水でおまえたちにバプテスマを授けるが、わたしよりも力のあるかたが、おいでになる。わたしには、そのくつのひもを解く値うちもない。このかたは、聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。
一七 また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、からは消えない火で焼き捨てるであろう」。
一八 こうしてヨハネはほかにもなお、さまざまの勧めをして、民衆に教を説いた。
ヨハネによる福音書第一章
一九 さて、ユダヤ人たちが、エルサレムから祭司たちやレビ人たちをヨハネのもとにつかわして、「あなたはどなたですか」と問わせたが、その時ヨハネが立てたあかしは、こうであった。
二〇 すなわち、彼は告白して否まず、「わたしはキリストではない」と告白した。
二一 そこで、彼らは問うた、「それでは、どなたなのですか、あなたはエリヤですか」。彼は「いや、そうではない」と言った。「では、あの預言者ですか」。彼は「いいえ」と答えた。
二二 そこで、彼らは言った、「あなたはどなたですか。わたしたちをつかわした人々に、答えを持って行けるようにしていただきたい。あなた自身をだれだと考えるのですか」。
二三 彼は言った、「わたしは、預言者イザヤが言ったように、『主の道をまっすぐにせよと荒野で呼ばわる者の声』である」。
二四 つかわされた人たちは、パリサイ人であった。
二五 彼らはヨハネに問うて言った、「では、あなたがキリストでもエリヤでもまたあの預言者でもないのなら、なぜバプテスマを授けるのですか」。
二六 ヨハネは彼らに答えて言った、「わたしは水でバプテスマを授けるが、あなたがたの知らないかたが、あなたがたの中に立っておられる。
二七 それがわたしのあとにおいでになる方であって、わたしはその人のくつのひもを解く値うちもない」。
二八 これらのことは、ヨハネがバプテスマを授けていたヨルダンの向こうのベタニヤであったのである。
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