四つの福音書による一つのイエス物語19
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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019
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イエスに先駆けてヨハネ現れる
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
1;2〜6 3;1〜10 3;1〜14 1;6〜8
第一章二〜六節 第三章一〜一〇節 第三章一〜一四節 第一章六〜八節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一章
二 預言者の錄してよ我なんぢの面前に我使を遣さん彼なんぢの前に其道を設くべし
三  野に呼る人の聲あり云く主の道を備へ其經すぢを直せよと有が如く
四 ヨハネ野に於てバプテスマを施し罪の赦を得させんが爲に悔改のバプテスマを宣傳たり
五 ユダヤの全國およびエルサレムの人かれに來りて各その罪を認はしヨルダンといふ河にてバプテスマを受
六 ヨハネは駱駝の毛衣を着腰に皮帶をつかね蝗蟲と野蜜を食へり
馬太傳iケ書第三章
一 當時バプテスマのヨハネ來りてユダヤの野に宣傳へて
二 曰けるは天國は近けり改めよ
三 是は主の道を備その路線を直せよと野に呼る人の聲ありと預言イザヤが言し人なり
四 此ヨハネは身に駱駝の毛衣をき腰に皮の帶をつかね蝗蟲と野蜜を食物とせり
五 斯時エルサレム及びユダヤを擧またヨルダンの四方より人 出てヨハネに就
六 己が罪をわらはしヨルダンにて彼よりバプテスマを授られたり
七 バプテスマを受んとてパリサイ及サドカイの人の多く來れるを見て彼等に曰けるはの裔よ誰なんぢらに來んとする怒を避べきことを告しや
八 然ば改に符ふ果を結べよ
九 爾曹われらが先にアブラハム有と云ことを意ふ勿れ我爾曹に告ん~は能この石をもアブラハムの子と爲しめ給ふなり
十 今や斧を樹の根に置る故に凡て善果を結ざる樹は斫れて火に投入らるべし
路加傳iケ書第三章
一 テベリオ カイザル在位の十五年ポンテオピラトはユダヤの方伯となりヘロデはガリラヤの分封の君と爲り其兄弟ピリポはイッリア及テラコニテの地の分封の君となりルサニアはアビレネの分封の君と爲り
二 アンナスとカヤパ祭司の長と爲たりし時ザカリアの子ヨハネ野に居て~の命令を受
三 ヨルダンの邊なる四方の地に來り罪の赦を得させんが爲に悔 改のバプテスマを宜傳たり
四 預言イザヤの言を載たる書に野に呼る人の聲あり云く主の道を備その徑を直せよ
五 の谷は埋られの山崗は夷られ屈曲たるは直く崎嶇は易せられ
六 人みな~の救を見ことを得んと有が如し
七 にバプテスマを受んとて來れる衆人にヨハネ曰けるは嗚呼蛇の裔よ誰が爾曹に來らんとする怒を避べき事ふしや
八 然ば悔改に符る果を結べし爾曹心に我が先にアブラハム有と意こと勿われ爾曹に~は能この石をアブラハムの子と爲しむべし
九 今や斧を樹の根に置る故に凡て善果を結ざる樹は伐れて火に投入らる
十 衆人ヨハネに問て曰けるは然ば我何を爲べき乎
十一 答て曰けるは二の衣服を有るは有ぬに分與よ食物を有るも亦然すべし
十二 稅吏もバプテスマを受んとて來り曰けるは師よ我は何を爲べきか
十三 答て曰けるは定例の稅銀の外に多く取こと勿れ
十四 兵卒も亦問て曰けるは我は何を爲べきや答て曰けるは人を强暴し或は誣訴ることを爲なかれ得ところの給料を以て足りと爲べし
約翰傳iケ書第一章
六 ~の遣し給へるヨハネと云るあり
七 その來りしは證の爲なりち光に就て證を作すべての人をして己に因て信ぜしめんが爲なり
八 彼は光に非ず光に就て證を作ん爲に來れり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一章
二 預言イザヤの書に、『よ、我なんぢの顔の前に、わが使を遣す、彼なんぢの道を設くべし。
三 荒野に呼はるの聲す「主の道を備へ、その路すぢを直くせよ』と錄されたる如く、
四 バプテスマのヨハネ出で荒野にて罪の赦を得さする悔改のバプテスマを宣傳ふ。
五 ユダヤ全國またエルサレムの人、みな其の許に出で來りて罪を言ひあらはし、ヨルダン川にてバプテスマを受けたり。
六 ヨハネは駱駝の毛織を、腰に皮の帶して、蝗と野蜜とを食へり。
マタイ傳iケ書第三章
一 その頃バプテスマのヨハネ來り、ユダヤの荒野にてヘを宣べて言ふ、
二 『なんぢら悔改めよ、天國は近づきたり』
三 これ預言イザヤによりて、斯く云はれし人なり。曰く『荒野に呼はるの聲す「主の道を備へ、その路すぢを直くせよ』
四 このヨハネは駱駝の毛織衣をまとひ、腰に皮の帶をしめ、蝗と野蜜とを食とせり、
五 爰にエルサレム及びユダヤ全國またヨルダンの邊なる全地方の人、ヨハネの許に出できたり、
六 罪を言ひ表し、ヨルダン川にてバプテスマを受けたり。
七 ヨハネ、パリサイ人およびサドカイ人のバプテスマを受けんとて、多く來るを見て、彼らに言ふ『の裔よ、誰が汝らに、來らんとする御怒を避くべき事を示したるぞ。
八 さらば悔改に相應しき果を結べ。
九 汝ら「われらの父にアブラハムあり」と心のうちに言はんと思ふな。我なんぢらにぐ、~は此らの石よりアブラハムの子らを起し得給ふなり。
 斧ははや樹の根に置かる。されば凡て善き果を結ばぬ樹は、伐られて火に投げ入れらるべし。
ルカ傳iケ書第三章
一 テベリオカイザル在位の十五年ポンテオピラトは、ユダヤの總督、へロデはガリラヤ分封の國守、その兄弟ピリポは、イツリヤ及びテラコニテの地の分封の國守、ルサニヤはアビレネ分封の國守たり、
二 アンナスとカヤパとは大祭司たりしとき、~の言、荒野にてザカリヤの子ヨハネに臨む。
三 斯てヨルダン河の邊なる四方の地にゆき、罪の赦を得さする悔改のバプテスマを宣傳ふ。
四 預言イザヤの言の書に『荒野に呼はるの聲す。「主の道を備へ、その路すぢを直くせよ。
五 もろもろの谷は埋められ、もろもろの山と岡とは平げられ、曲りたるは直く、しきは坦かなる路となり、
六 人みな~の救を見ん」』と錄されたるが如し。
七 ヨハネ、バプテスマを受けんとて出できたる群衆にいふ『の裔よ、誰が汝らに、來らんとする御怒を避くべき事を示したるぞ。
八 さらば悔改に相應しき果を結べ。なんぢら「我らの父にアブラハムあり」と心のうちに言ひ始むな。我なんぢらにぐ、~はよく此らの石よりアブラハムの子等を起し得給ふなり。
九 斧ははや樹の根に置かる。然れば凡て善き果を結ばぬ樹は、伐られて火に投げ入れらるベし』
 群衆ヨハネに問ひて言ふ『さらば我ら何を爲すべきか』
一一 答へて言ふ『二つの下衣をもつは、有たぬに分與へよ。食物を有つもまた然せよ』
一二 取稅人もバプテスマを受けんとて來りて言ふ『師よ、我ら何を爲すべきか』
一三 答へて言ふ『定りたるものの外、なにをも促るな』
一四 兵卒もまた問ひて言ふ『我らは何を爲すべきか』答へて言ふ『人を劫かし、また誣ひ訴ふな、己が給料をもて足れりとせよ』
ヨハネ傳iケ書第一章
六 ~より遣されたる人いでたり、その名をヨハネといふ。
七 この人は證のために來れり、光に就きて證をなし、また凡ての人の彼によりて信ぜん爲なり。
八 彼は光にあらず、光に就きて證せん爲に來れるなり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一章
二 預言者イザヤの書に、「見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、あなたの道を整えさせるであろう。
三 荒野で呼ばわる者の声がする、『主の道を備えよ、その道筋をまっすぐにせよ』」と書いてあるように、
四 バプテスマのヨハネが荒野に現れて、罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えていた。
五 そこで、ユダヤ全土とエルサレムの全住民とが、彼のもとにぞくぞくと出て行って、自分の罪を告白し、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けた。
六 このヨハネは、らくだの毛ごろもを身にまとい、腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。
マタイによる福音書第三章
一 そのころ、バプテスマのヨハネが現れ、ユダヤの荒野で教を宣べて言った、
二 「悔い改めよ、天国は近づいた」。
三 預言者イザヤによって、「荒野で呼ばわる者の声がする、『主の道を備えよ、その道筋をまっすぐにせよ』」と言われたのは、この人のことである。
四 このヨハネは、らくだの毛ごろもを着物にし、腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。
五 すると、エルサレムとユダヤ全土とヨルダン附近一帯の人々が、ぞくぞくとヨハネのところに出てきて、
六 自分の罪を告白し、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けた。
七 ヨハネは、パリサイ人やサドカイ人が大ぜいバプテスマを受けようとしてきたのを見て、彼らに言った、「まむしの子らよ、迫ってきている神の怒りから、おまえたちはのがれられると、だれが教えたのか。
八 だから、悔改めにふさわしい実を結べ。
九 自分たちの父にはアブラハムがあるなどと、心の中で思ってもみるな。おまえたちに言っておく、神はこれらの石ころからでも、アブラハムの子を起すことができるのだ。
一〇 斧がすでに木の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれるのだ。
ルカによる福音書第三章
一 皇帝テベリオ在位の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、その兄弟ピリポがイツリヤ・テラコニテ地方の領主、ルサニヤがアビレネの領主、
二 アンナスとカヤパとが大祭司であったとき、神の言が荒野でザカリヤの子ヨハネに臨んだ。
三 彼はヨルダンのほとりの全地方に行って、罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えた。
四 それは、預言者イザヤの言葉の書に書いてあるとおりである。すなわち/「荒野で呼ばわる者の声がする、『主の道を備えよ、その道筋をまっすぐにせよ』。
五 すべての谷は埋められ、すべての山と丘とは、平らにされ、曲ったところはまっすぐに、わるい道はならされ、
六 人はみな神の救を見るであろう」。
七 さて、ヨハネは、彼からバプテスマを受けようとして出てきた群衆にむかって言った、「まむしの子らよ、迫ってきている神の怒りから、のがれられると、おまえたちにだれが教えたのか。
八 だから、悔改めにふさわしい実を結べ。自分たちの父にはアブラハムがあるなどと、心の中で思ってもみるな。おまえたちに言っておく。神はこれらの石ころからでも、アブラハムの子を起すことができるのだ。
九 斧がすでに木の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれるのだ」。
一〇 そこで群衆が彼に、「それでは、わたしたちは何をすればよいのですか」と尋ねた。
一一 彼は答えて言った、「下着を二枚もっている者は、持たない者に分けてやりなさい。食物を持っている者も同様にしなさい」。
一二 取税人もバプテスマを受けにきて、彼に言った、「先生、わたしたちは何をすればよいのですか」。
一三 彼らに言った、「きまっているもの以上に取り立ててはいけない」。
一四 兵卒たちもたずねて言った、「では、わたしたちは何をすればよいのですか」。彼は言った、「人をおどかしたり、だまし取ったりしてはいけない。自分の給与で満足していなさい」。
ヨハネによる福音書第一章
六 ここにひとりの人があって、神からつかわされていた。その名をヨハネと言った。
七 この人はあかしのためにきた。光についてあかしをし、彼によってすべての人が信じるためである。
八 彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。
Office Murakami