四つの福音書による一つのイエス物語11
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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011
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イエスのことを予め知った人々訪れる
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
2;1〜12 2;8〜20
第二章一〜一二節 第二章八〜二〇節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬太傳iケ書第二章
一 夫イエスはヘロデ王の時ユダヤのベテレヘムに生れ給しが其とき博士たち東の方よりエルサレムに來り
二 曰けるはユダヤ人の王とて生れ給るは何處に在す乎われら東の方にて其星を見たれば彼を拜せん爲に來れり
三 ヘロデ王これを聞て痛む又エルサレムの民もみな然り
四 凡の祭司の長と民の學とを集てヘロデ問けるはキリストの生るべき處は何所なる乎
五 答けるはユダヤのベテレヘムなり蓋預言の錄されたる言に
六 ユダヤの地ベテレヘムよ爾はユダヤの郡中にて至小きものに非ず我イスラエルの民を牧ふべき君その中より出んと云ばなり
七 是に於てヘロデ密に博士等を召星の現れし時を詳に問て
八 彼等をベテレヘムに遣さんとして曰けるは往て兒の事を細に尋これに遇ば我によ我も亦ゆきて拜すべし
九 かれも王の命を聞て往り前に東の方にて見たりし星かれらに先ちて兒の居所にいたり其上に止りぬ
十 彼等この星を見て甚く喜び
十一 に室に入ければ兒の其母マリアと偕に居を見ひれふして兒を拜し寶の盒を開て黃金、乳香、沒藥など禮物をたり
十二 博士夢にヘロデへ返る勿との默示を蒙りて他の途より其國に歸れり
路加傳iケ書第二章
八 近傍に羊を牧もの有けるが野に居て夜間その群を守たりしに
九 主の天使きたりて主の榮光かれらを環照ければ牧おほいに懼たり
十 天使これに曰けるは懼ること勿れわれ萬民に關りたる大なる喜の音を爾曹にべし
十一 それ今日ダビデの邑に於て爾曹の爲に救主うまれ給へり是主たるキリストなり
十二 爾曹布にて兒の槽に臥たるを見ん是其徵なり
十三 ち衆の天軍あらはれ天使と共に~を讚美て曰けるは
十四 天上ところには榮光~にあれ地には平安人には恩澤あれ
十五 天使等かれらを離て天に行ければ羊を牧もの互に曰けるは率ベテレヘムにゆき主の示し給へる其有し事を見んとて
十六 急ぎ至りマリアとヨセフまた槽に臥たる兒に尋遇り
十七 に見て此子につき天使の語し事を傳播ければ
十八 聞みな羊を牧の語る事を奇みたり
十九 マリアは凡て是等の言を心に記て思想しぬ
二十 羊を牧その見聞せる所みな己に語し所の如なるにより~を崇かつ讚美て返れり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マタイ傳iケ書第二章
一 イエスはへロデ王の時、ユダヤのベツレヘムに生れ給ひしが、よ、東の博士たちエルサレムに來りて言ふ、
二 『ユダヤ人の王とて生れ給へるは、何處に在すか。我ら東にてその星を見たれば、拜せんために來れり』
三 へロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り。
四 王、民の祭司長らを皆あつめて、キリストの何處に生るべきを問ひ質す。
五 かれら言ふ『ユダヤのベツレヘムなり。それは預言によりて、
六 「ユダの地ベツレヘムよ、汝はユダの長等の中にて最小きにあらず、汝の中より一人の君いでて、わが民イスラエルを牧せん」と錄されたるなり』
七 ここにヘロデ密に博士たちを招きて、星の現れし時を詳細にし、
八 彼らをベツレヘムに遣さんとして言ふ『往きて幼兒のことを細にたづね、之にあはば我にげよ。我も往きて拜せん』
九 彼ら王の言をききて往きしに、よ、前に東にて見し星、先だちゆきて、幼兒の在すところの上に止る。
 かれら星を見て、歡喜に溢れつつ、
一一 家に入りて、幼兒のその母マリヤと偕に在すを見、平伏して拜し、かつの匣をあけて、黃金乳香沒藥など禮物を獻げたり。
一二 斯て夢にてヘロデの許に返るなとの御を蒙り、ほかの路より己が國に去りゆきぬ。
ルカ傳iケ書第二章
八 この地に野宿して夜、群を守りをる牧ありしが、
九 主の使その傍らに立ち、主の榮光その周圍を照したれば、甚く懼る。
 御使かれらに言ふ『懼るな。よ、この民、一般に及ぶべき、大なる歡喜の音信を我なんぢらにぐ、
一一 今日ダビデの町にて汝らの爲に救主うまれ給へり、これ主キリストなり。
一二 なんぢら布にて包まれ、馬槽に臥しをる兒を見ん、是その徵なり』
一三 忽ちあまたの天の軍勢、御使に加はり、~を讚美して言ふ、
一四 『いと高き處には榮光、~にあれ。地には平和、主のスび給ふ人にあれ』
一五 御使等さりて天に往きしとき、牧たがひに語る『いざ、ベツレヘムにいたり、主の示し給ひし起れる事を見ん』
一六 乃ち急ぎ往きて、マリヤとヨセフと、馬槽に臥したる兒とに尋ねあふ。
一七 旣に見て、この子につき御使の語りしことをげたれば、
一八 聞くはみな牧の語りしことを怪しみたり。
一九 而してマリヤは凡て此等のことを心に留めて思ひせり。
 牧は御使の語りしごとく凡ての事を見聞せしによりて~を崇め、かつ讚美しつつ歸れり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マタイによる福音書第二章
一 イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、
二 「ユダヤ人の王としてお生れになったかたは、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました」。
三 ヘロデ王はこのことを聞いて不安を感じた。エルサレムの人々もみな、同様であった。
四 そこで王は祭司長たちと民の律法学者たちとを全部集めて、キリストはどこに生れるのかと、彼らに問いただした。
五 彼らは王に言った、「それはユダヤのベツレヘムです。預言者がこうしるしています、
六 『ユダの地、ベツレヘムよ、おまえはユダの君たちの中で、決して最も小さいものではない。おまえの中からひとりの君が出て、わが民イスラエルの牧者となるであろう』」。
七 そこで、ヘロデはひそかに博士たちを呼んで、星の現れた時について詳しく聞き、
八 彼らをベツレヘムにつかわして言った、「行って、その幼な子のことを詳しく調べ、見つかったらわたしに知らせてくれ。わたしも拝みに行くから」。
九 彼らは王の言うことを聞いて出かけると、見よ、彼らが東方で見た星が、彼らより先に進んで、幼な子のいる所まで行き、その上にとどまった。
一〇 彼らはその星を見て、非常な喜びにあふれた。
一一 そして、家にはいって、母マリヤのそばにいる幼な子に会い、ひれ伏して拝み、また、宝の箱をあけて、黄金・乳香・没薬などの贈り物をささげた。
一二 そして、夢でヘロデのところに帰るなとのみ告げを受けたので、他の道をとおって自分の国へ帰って行った。
ルカによる福音書第二章
八 さて、この地方で羊飼たちが夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた。
九 すると主の御使が現れ、主の栄光が彼らをめぐり照したので、彼らは非常に恐れた。
一〇 御使は言った、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。
一一 きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。
一二 あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである」。
一三 するとたちまち、おびただしい天の軍勢が現れ、御使と一緒になって神をさんびして言った、
一四 「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」。
一五 御使たちが彼らを離れて天に帰ったとき、羊飼たちは「さあ、ベツレヘムへ行って、主がお知らせ下さったその出来事を見てこようではないか」と、互に語り合った。
一六 そして急いで行って、マリヤとヨセフ、また飼葉おけに寝かしてある幼な子を捜しあてた。
一七 彼らに会った上で、この子について自分たちに告げ知らされた事を、人々に伝えた。
一八 人々はみな、羊飼たちが話してくれたことを聞いて、不思議に思った。
一九 しかし、マリヤはこれらの事をことごとく心に留めて、思いめぐらしていた。
二〇 羊飼たちは、見聞きしたことが何もかも自分たちに語られたとおりであったので、神をあがめ、またさんびしながら帰って行った。
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