四つの福音書による一つのイエス物語3
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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003
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ヨハネが生まれることをザカリアに告げられる
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
1;5〜23
第一章五〜二三節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
路加傳iケ書第一章
五 ユダヤの王ヘロデの時にアビアの班なる祭司ザカリアと云るあり其妻はアロンの裔にて名をエリサベツと云
六 共に~の前にて義人なり凡て主の誡命と禮儀を虧なく行へり
七 ェリサベツ姙なきが故に彼等に子なし又二人とも年も老ぬ
八 ザカリアその班次に値て~の前に祭司の職を行ふ時
九 祭司の例に從ひ籤を抽て主の殿にいり香を燒ことを得
十 香を燒ける時に衆の人はみな外に居てれり
十一 主の使香壇の右に立てザカリアに現れしかば
十二 ザカリア之を見て驚懼る
十三 天使彼に曰けるはザカリアよ懼る勿れ爾の禱すでに聞たまへり爾の妻エリサベツ男子を生ん其名をヨハネと名くべし
十四 爾に喜と樂あらん多の人も亦その生るに因てスび有ん
十五 それ此子主の前に大ならん又葡萄酒と濃酒とを飮じ母の胎より生出て聖靈に充さる
十六 又イスラエルの民の多の人を主なる某~に歸す可れば也
十七 彼エリヤの心と才能を以て主の先に行ん是父の心に子を慈はせ逆れるを義人の智に歸せ主の爲に新なる民を備んとなり
十八 ザカリア天使に曰けるは我すでに年老妻もまた年老たれば何に因てか此事あるを知ん
十九 天使こたへて曰けるは我はガブリエルとて~の前に立なり爾に語てこの喜の音をん爲に遣されたれば
二十 其時いたりて必ず成べき我が言を信ぜざるに因なんぢとなりて此事の成日まで言ふこと能はじ
二一 民ザカリアを俟ゐて其殿の內に久を異む
二二 ザカリア出て言ふこと能はざりしかば彼等その殿の內にて異象を見たる事を曉たりザカリア衆人に首を以て示し竟にとなれり
二三 その職事の日滿ければ家に歸りぬ
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ルカ傳iケ書第一章
五 ユダヤの王ヘロデの時、アビヤの組の祭司に、ザカリヤといふ人あり。その妻はアロンの裔にて名をエリサベツといふ。
六 二人ながら~の前に正しくして、主の誠命と定規とを、みな缺なく行へり。
七 エリサベツ石女なれば、彼らに子なし、また二人とも年邁みぬ。
八 さてザカリヤその組の順番に當りて、~の前に祭司の務を行ふとき、
九 祭司の慣例にしたがひて、籤をひき主の聖所に入りて、香を燒くこととなりぬ。
 香を燒くとき民の群みな外にありてりゐたり。
一一 時に主の使あらはれて、香壇の右に立ちたれば、
一二 ザカリヤ之を見て、心騷ぎ懼を生ず。
一三 御使いふ『ザカリヤよ懼るな、汝の願は聽かれたり。汝の妻エリサベツ男子を生まん、汝その名をヨハネと名づくべし。
一四 なんぢに喜スと歡樂とあらん、又おはくの人もその生るるを喜ぶべし。
一五 この子、主の前に大ならん、また葡萄酒と濃き酒とを飮まず、母の胎を出づるや聖靈にて滿されん。
一六 また多くのイスラエルの子らを、主なる彼らの~に歸らしめ、
一七 且エリヤの靈と能力とをもて、主の前に往かん。これ父の心を子に、戾れるを義人の聰明に歸らせて、整へたる民を主のために備へんとてなり』
一八 ザカリヤ御使にいふ『何に據りてか此の事あるを知らん、我は老人にて、妻もまた年邁みたり』
一九 御使こたへて言ふ『われは~の御前に立つガブリエルなり、汝に語りてこの嘉き音信をげん爲に遣さる。
 よ、時いたらば、必ず成就すべき我が言を信ぜぬに因り、なんぢ物言へずなりて、此らの事の成る日までは語ること能はじ』
二一 民はザカリヤを俟ちゐて、其の聖所の內に久しく留まるを怪しむ。
二二 遂に出で來りたれど語ること能はねば、彼らその聖所の內にて異象を見たることを悟る。ザカリヤは、ただ首にて示すのみ、なほ啞なりき、
二三 斯て務の日滿ちたれば、家に歸りぬ。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ルカによる福音書第一章
五 ユダヤの王ヘロデの世に、アビヤの組の祭司で名をザカリヤという者がいた。その妻はアロン家の娘のひとりで、名をエリサベツといった。
六 ふたりとも神のみまえに正しい人であって、主の戒めと定めとを、みな落度なく行っていた。
七 ところが、エリサベツは不妊の女であったため、彼らには子がなく、そしてふたりともすでに年老いていた。
八 さてザカリヤは、その組が当番になり神のみまえに祭司の務をしていたとき、
九 祭司職の慣例に従ってくじを引いたところ、主の聖所にはいって香をたくことになった。
一〇 香をたいている間、多くの民衆はみな外で祈っていた。
一一 すると主の御使が現れて、香壇の右に立った。
一二 ザカリヤはこれを見て、おじ惑い、恐怖の念に襲われた。
一三 そこで御使が彼に言った、「恐れるな、ザカリヤよ、あなたの祈が聞きいれられたのだ。あなたの妻エリサベツは男の子を産むであろう。その子をヨハネと名づけなさい。
一四 彼はあなたに喜びと楽しみとをもたらし、多くの人々もその誕生を喜ぶであろう。
一五 彼は主のみまえに大いなる者となり、ぶどう酒や強い酒をいっさい飲まず、母の胎内にいる時からすでに聖霊に満たされており、
一六 そして、イスラエルの多くの子らを、主なる彼らの神に立ち帰らせるであろう。
一七 彼はエリヤの霊と力とをもって、みまえに先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に義人の思いを持たせて、整えられた民を主に備えるであろう」。
一八 するとザカリヤは御使に言った、「どうしてそんな事が、わたしにわかるでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています」。
一九 御使が答えて言った、「わたしは神のみまえに立つガブリエルであって、この喜ばしい知らせをあなたに語り伝えるために、つかわされたものである。
二〇 時が来れば成就するわたしの言葉を信じなかったから、あなたは口がきけなくなり、この事の起る日まで、ものが言えなくなる」。
二一 民衆はザカリヤを待っていたので、彼が聖所内で暇どっているのを不思議に思っていた。
二二 ついに彼は出てきたが、物が言えなかったので、人々は彼が聖所内でまぼろしを見たのだと悟った。彼は彼らに合図をするだけで、引きつづき、口がきけないままでいた。
二三 それから務の期日が終ったので、家に帰った。
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